荒川区議会2017年度定例会の閉会会議で「荒川区住宅宿泊事業の運営に関する条例」に賛成討論を行いました。

荒川区議会2017年度定例会の閉会会議で「荒川区住宅宿泊事業の運営に関する条例」に賛成討論を行いました。

今日で荒川区議会2017年度定例会を閉会。5月末に荒川区議会2018年度定例会の開会会議を開くことになります。今回の閉会会議は、定例会の終了だけでなく「荒川区住宅宿泊事業の運営に関する条例」はじめ重要な議案3件が審議されました。
そのうち日本共産党区議団を代表して「荒川区住宅宿泊事業の運営に関する条例」に賛成討論を行いました。併せて旅館・簡易宿所に玄関帳場・営業従事者の常駐を義務化する条例改正も行われました。こうした点にも触れた討論です。

荒川区住宅宿泊事業の運営に関する条例 賛成討論…全文

私は、日本共産党荒川区議会議員団を代表して議案第75号、荒川区住宅宿泊事業の運営に関する条例に賛成の立場で討論をおこないます。
この条例は、先に成立した住宅宿泊事業法第18条の「(民泊に)起因する騒音その他の事象による生活環境の悪化を防止する」ため区として独自の規制をおこなうものです。
そもそも我が党は、「住宅宿泊事業法」について、これまで安全や衛生などの確保を定めた旅館業法の許可も安全衛生基準もなく、近隣の住民の生活環境を脅かす「違法民泊」を届け出さえあれば合法化して営業を認めるものであり反対しました。
同時に、法が成立した段階では、その施行について一時凍結して、まず違法民泊の実態把握と取り締まりをおこなうよう求めてきました。
荒川区内には、インターネットサイトだけでも500件余の民泊の存在が確認され、騒音やゴミ出しトラブルの苦情が区に寄せられてきました。
我が党は、この間の議会質問で違法民泊の取り締まりとともに、国に対して旅館業法の規制を民泊も対象にするよう求めるとともに、区としての独自の対応を求めてきました。
こうした中で提案された本条例は、第一に、区内全域にわたって民泊事業を土日祝日に限定、年間115日に規制、第二に、近隣住民への周知、届け出事業者の公表、事業者による廃棄物処理責任、苦情対応とその記録と3年間の保存、第三に、違反者への指導勧告、命令、公表など、かなり厳しい規制内容であり生活環境の悪化から住民を守る上で評価できる内容となっています。
しかし、これで全ての不安が解消したわけではありません。
委員会審議を通じても、実際に運用する中で、今後さらに検討すべき課題が多く出されました。近隣への告知期間が7日前までで良いのか、家主不在型の場合管理者が1キロ以内というがほんとうに対応できるのか、旅館業法が求めている火災含めた安全や衛生管理などどう確保するのか、違法民泊の摘発と取り締まりをどうおこなっていくのかなど上げられました。区は、規則等での対応も含めて検討するとのことでしたが、積極的な対応を強く求めておきます。
この条例と関連して提出された、荒川区旅館業法施行条例の一部改正にも触れておきます。我が党区議団は、先に京都市東山区の民泊事情の視察をおこない、主要地域を実際にくまなく歩いてきました。この地域は、京都の中心的観光地であるとともに、古い京町屋や住宅が連なる木造密集地域です。そこで目にしたのは、生活道路や細い路地、袋小路の中にまで、ドアに「テンキー」「インターホン」が設置された簡易宿所、民泊が軒を連ね、虫食い状態で営業していました。同時に、まちのあちこちで「旅館業」の建築看板を掲げた一般住宅の増改築工事が目につきました。そこに暮らす住民がどんどん追いやられている実態を目の当たりにし、決して他人事ではないと感じました。
荒川区でも規制によって年間115日しか営業できない民泊事業でなく、旅館業法に基づく簡易宿所に事業者が流れてくることが懸念されています。今回の旅館業法施行条例の一部改正は、簡易宿所にも玄関帳場を設置、営業時間中の営業従事者の常駐を義務付けました。旅館業法の改定に伴う政令で旅館業の客室制限がなくなり、理屈の上では一部屋からでも事業をおこなうことが可能となります。さらに国は、何カ所かの施設を一カ所で管理するサテライト方式なども可能だと言っているようです。こんなことを認めれば、マンションの部屋、空き家等含め、場所が離れた複数の居室をまとめて営業することが可能となってしまいます。委員会での質疑で、今回の玄関帳場・営業従事者の常駐義務づけは各施設毎が対象であり、この改正によってサテライト方式はできないとの答弁がありました。民泊問題は、こうした条例改正と一体で対処しなければ効果はありません。今後法や条例をかいくぐる事業者が出ないとも限りません。今後の区の取り組み、条例の効果など逐次検証し、必要な見直しを迅速におこなうことが求められています。
以上申し上げ、賛成の討論と致します。

※タイトル傍の写真は、私が撮りためたものです。へたくそな写真ですが、街や自然の様子など掲載していきます。