西日暮里駅前再開発の陳情審査で問題点浮き彫り、3月の都市計画決定は中止すべきです

西日暮里駅前再開発の陳情審査で問題点浮き彫り、3月の都市計画決定は中止すべきです

2月3日の荒川区議会建設環境委員会で西日暮里駅前再開発に関する陳情57件(再開発賛成は17件、再開発に反対・見直し・再考40件 ※日本共産党区議団は、再開発賛成=不採択、再開発に反対・見直し=採択 下表参照)の審査が行われました。委員会での結果は「再開発賛成」の陳情は採択、「再開発反対・見直し・再考」は不採択3・採択2・趣旨採択2でいずれも過半数に至らず委員会では結果が出ませんでした。2月17日の本会議で全議員の賛否を問います。

西日暮里駅前再開発は、6割が区有地、250億円の税金が投入されることと合わせ、いわば区の公共工事です。しかも計画調書にも300世帯の弱小権利者の態度が不明、「反対陳情が複数提出」、事業進捗で反対意向が強まる、マンション内で賛否が分かれている、資金計画に不安など懸案事項をあげています(下資料)。
公開性についても問題です。私が公開請求した予算調書(国に提出)は、黒塗り部分が多くありました。しかも大ホールが中止後の予算調書は、都市計決定後になるということです。旧道灌中跡地という貴重な区民の財産を何に使うのか、区民合意はあるのでしょうか。
区民合意、公開性を無視した西日暮里駅前地区再開発の3月都市計画決定は中止すべきです。
まちづくりの理念なき「再開発」
また、今回の再開発推進に区のまちづくりの考え、理念が全く見えてきません。
荒川区のまちづくりは、超高層のタワーマンション建設を中心にした従来型でよいのでしょうか。コロナ禍で今後、生活変容、一極集中の是正など大きな変化が生じることは明らかです。
タワーマンションという選択について、建築の専門家の中で「近い将来タワーマンションは時代遅れの産物になる」、エネルギー収支をゼロにするビルの時代が来る、タワーマンションは、収支を合わせることが無理、環境負荷が大きいなどの問題点が指摘されています。地域への帰属意識が希薄、コミュニティが成立しないなども指摘されています。
今後は、小規模修復型の時代になるとの指摘もあります。これからは、スクラップ&ビルドでなく少しずつ手直ししてまちを磨いていく時間的思想、文化的思想が求められるなど指摘しています。
区は、こうした警告を真摯に受け止め、真に将来を見据えた荒川区のまちづくりすすめるときです。

タワーマンションは時代遅れに?
世界的な建築家である隈研吾氏は、今年1月1日の朝日新聞で次のように述べています。
「街従来の文化・多様性…小さな特徴を生かして輝かせる」
世界的に問題になっているのは、「タワーを中心に敷地を統一したエリアだけが島状になって孤立」「低層部に似たデザインのブランドショップ」(デベロッパーとデザイナー中心で進められた結果)「タワー型開発は、いろいろな格差と対立をもたらしてしまった」との警告を発しています。

※表紙の写真は、再開発地区にある旧道灌中跡地